ブレーキフルードを交換しないとどうなる?劣化の原因や交換時期を解説

2023.11.24

ブレーキフルードとは?

ブレーキフルードとは、自動車などの液圧式ブレーキを作動させるために、油圧系統内を満たしているオイル状の液体のことです。

オイル状の液体のため、ブレーキオイルとも呼ばれています。

ブレーキフルードの役割

ブレーキフルードには、ブレーキペダルを踏んだ力を他のブレーキ装置に均等に伝達する役割があります。

通常の車にはブレーキが4つ付いていて、ブレーキペダルを踏むとブレーキフルードがブレーキ装置を流れて4つのブレーキが同時に作動するようになっています。

ブレーキ装置の伝達に液体が使われているのは、密閉された中の液体は圧力を加えると同じ強さで流体の全ての方向に伝わるという原理を応用しているためで、オイル状のブレーキフルードが使われているのは、オイルは沸点が高く高温でも安定して力を伝達できることが理由です。

ブレーキフルードの種類

ブレーキフルードは、2種類の成分とアメリカ運輸省が定める自動車安全基準のDOT(ドット:Department Of Transportation)という規格に沿った4つのランクに分かれています。

グリコール系ブレーキフルード

グリコール系ブレーキフルードは、一般的な乗用車に使用されている成分です。

主成分はポリエチレングリコールモノエーテルで、吸湿性がありますが、エステル結合が加水分解されることで、遊離の水分を減らすことができます。

また、沸点が高く、低粘度で応答性が良いという特徴があります。

シリコーン系ブレーキフルード

シリコーン系ブレーキフルードは、ジメチルポリシロキサンを主成分としています。

吸湿性がないため、水分の混入による劣化が少ないのが特徴です。

また、グリコール系に比べて沸点が高く、低粘度のため応答性が良く、耐熱性・耐腐食性にも優れています。

DOT3

DOT3はドライ沸点(新品状態での沸点)が205℃以上、ウェット沸点(1~2年程度使用した状態の沸点)が140℃以上のブレーキフルードです。一般的な乗用車に使用されています。

DOT4

DOT4はドライ沸点が230℃以上、ウェット沸点が155℃以上のブレーキフルードです。スポーツカーや高性能車に使用されています。

DOT5

DOT5はドライ沸点が260℃以上、ウェット沸点が180℃以上のブレーキフルードです。レース車両や高性能車に使用されています。

DOT5.1

DOT5.1はドライ沸点が260℃以上、ウェット沸点が180℃以上のグリコール系ブレーキフルードです。DOT5と混合すると発煙・発火する危険があるため、注意が必要です。

なお、日本国内でDOT表示に変わって日本工業規格(JIS)基準に沿ったブレーキフルードも使用されています。

内容は、ほぼDOT規格と同じもので、BF-3やBF-4、BF-5といった表記がされています。

ブレーキフルードの補充や交換が必要な理由

ブレーキフルードは、自動車関連の部品の中でも消耗品とされていて、定期的に補充や交換といったメンテナンスを行うことが必要とされています。

ブレーキフルードが劣化するとブレーキが効きにくくなる

ブレーキフルードは、ブレーキを踏んだときにブレーキキャリパーやマスターシリンダーに力を伝達する役割をしていますが、劣化すると沸点が下がります。

ブレーキを使い続けるとブレーキの摩擦熱がブレーキフルードに伝わり温度が上昇しますが、この時、沸点が低いと沸騰しやすくなります。

沸騰すると気泡が発生してしまい、この気泡が伝達する力を吸収してしまうことで、ブレーキが効きにくくなります。

ブレーキフルードが劣化する原因

ブレーキフルードが劣化する原因は、主につぎの2つです。

水分の吸湿

ブレーキフルードは、吸湿性を持つオイルです。そのため、車を動かすか動かさないかに関わらず、空気中の水分を吸湿するため長期間使用していると劣化してしまいます。

ブレーキシステムの腐食

水分を吸湿する以外に長期間車を動かさない状態が続くと、ブレーキシステムに錆びが発生することでブレーキフルードが劣化することがあります。

また、腐食した部分が変形して隙間が空くことで漏れる可能性もあります。

ブレーキフルードが減る原因

ブレーキフルードが減る原因も大きく分けて2つあります。

ブレーキパッドの摩耗

ブレーキパッドは、ブレーキをかけると摩擦により摩耗していきます。

摩耗したブレーキパッドは、ブレーキフルードを押し出すことで、ブレーキの効きを維持しています。

そのため、ブレーキパッドが摩耗すると、リザーバータンク内の液面が下がります。

ブレーキフルードの漏れ

ブレーキフルードの漏れは、リザーバータンクのキャップやホース、バンジョーボルト、マスターシリンダーなどの部品に亀裂や劣化が生じた場合に発生することがあります。

また、ブレーキシステムの腐食によって、腐食した部分が変形して隙間が空くことで漏れる可能性もあります。

そのほか、ブレーキパッドの交換やブレーキホースの交換などの作業を行った際に、部品の取り付けが不完全な場合にも漏れが発生することがあります。

ブレーキフルードの交換時期

先ほど振れたように、ブレーキフルードは空気中の水分を吸湿する性質があるため、一定期間使用すると劣化していきます。

劣化したブレーキフルードは沸点が低下し、ブレーキを踏んだ際に気泡が発生しやすくなってブレーキが効かなくなる危険性があります。

そのため、ブレーキフルードの交換は、定期的に行うことが重要です。

ブレーキフルードの寿命は2~4年

ブレーキフルードの寿命は、一般的に2~4年とされています。

ただ、車の使用状況によっては、一般的な寿命よりも早めに交換する必要がある場合もあります。

例えば、海水や雪道をよく走る場合は水分や塩分が混入しやすくなるため、劣化が早まることがあります。

また、スポーツ走行をする場合では、ブレーキの負担が大きくなるため一般道で使用している車よりも劣化が早まります。

車検の時期に合わせて交換

ブレーキフルードの交換で最も一般的なタイミングは、車検の時期に合わせて交換することです。

乗用車は新車登録時から3年で、以降は2年ごとに車検を受ける必要があるため、車検整備と合わせて交換しておけば、より安心して走行することができます。

また、車検整備と一緒に作業を依頼すると、交換分の工賃を割引してもらえるケースもあるため、その分お得になることもあります。

ブレーキパッドと一緒に交換

ブレーキパッドを交換するときブレーキフルードも一緒に交換するのもタイミングとしては適切と言えます。

ブレーキパッドが減るとリザーバータンク内の液面が下がりますし、パッドが減るということはそれだけブレーキを使用していることにもなるので、ブレーキフルードが劣化している可能性が考えられるためです。

ブレーキ警告灯が点灯したら要点検

上記の交換時期以外でも、ブレーキ警告灯が点灯したらブレーキの点検とあわせてブレーキフルードの点検もしておくことをおすすめします。

ブレーキ警告灯が点灯する原因はいろいろなケースが考えられますが、ブレーキシステムの不具合や、劣化も原因である可能性もあります。

特に問題が無い場合でも、ブレーキ警告灯が点灯したら予防整備としてブレーキフルードを交換しておくとより安心です。

ブレーキフルードは自分で補充や交換できる?

ブレーキフルードの補充や交換は、自分で行うことも可能です。

一方で、正しい手順を踏まないと、かえってブレーキの効きが悪くなり、危険な状態になる可能性があるため十分注意が必要です。

補充は自分でできるが注意が必要

ブレーキフルードは自分で補充することもできますが、次の点に十分注意が必要です。

ブレーキフルードをこぼさない

ブレーキフルードを注ぎ入れる際は、こぼさないようにゆっくりと注ぐようにします。

ブレーキフルードは付着すると塗装の表面にしみこんでしまい、劣化させてしまうことがあるため、ボディや塗装面に付着しないよう慎重に取り扱いましょう。

適正量を守る

ブレーキフルードを注ぎすぎると、リザーバータンクからあふれてしまうことがあるため適正量を守ることも重要です。

リザーバータンクには、液量の上限の印がついていますので、目盛りを超えないように注意して入れる必要があります。

ブレーキパットを交換すれば補充が必要ない場合もある

そもそもリザーブタンクのブレーキフルードが減っているのは、ブレーキパッドが減っていることが原因の可能性もあります。

この場合は、ブレーキフルードの補充ではなく、ブレーキパットを交換する必要があるため、補充する前に原因を確認しておくことが重要になります。

交換は自分でもできるが難しい

ブレーキフルードの交換は、自分で行うことも可能です。

ただし、交換作業を行うための基本的な知識と技術が必要になります。

特に、交換時のエア抜きの作業は重要で、ブレーキフルードにエアが残っていると、ブレーキの効きが悪くなる原因になります。

作業に自信がない場合は、専門の整備工場に依頼することをおすすめします。

ブレーキフルードはどこで交換できる?

ブレーキフルードの交換は特殊な工具などは必要が無い作業のため、さまざまなお店で対応してもらうことができます。

カー用品店

カー用品店では、比較的多くの種類のブレーキフルードを取扱しています。

カーディーラーに比べてリーズナブルな工賃価格で交換できるというメリットがありますが、特殊な車両や大型の車両などは対応ができないケースもあります。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでもブレーキフルードの交換を対応してもらえるお店があります。

ただ、知識や技術を持っているスタッフが常駐していないお店もあるので、依頼する場合は信頼できるスタッフがいるかどうかを確認した方がよいでしょう。

カーディーラー

カーディーラーでもブレーキフルードを交換してもらうことができます。専門知識を持った整備士がいるため、安心して作業を依頼することができますが、カー用品店やガソリンスタンドと比較して工賃はやや高めの設定になっています。

自動車整備工場

自動車整備工場であれば、安心してブレーキフルードの交換を依頼することができます。

作業面では問題ありませんが、日曜や祝日は休業のところが多いため、事前に予約の連絡をしておくことをおすすめします。

車を購入した販売店

車を購入した販売店も安心してブレーキフルードの交換を依頼することができます。

こちらも定休日や他の作業で混んでいる場合があるので、事前に連絡して作業の予約をしておいた方がよいでしょう。

まとめ

ブレーキフルードはブレーキペダルを踏んだ力を4輪のブレーキ装置に均等に伝達する役割がありますが、空気中の水分を浸湿する性質があり、一定期間使用すると劣化するため定期的な交換が必要です。

GC店ではブレーキフルードの交換や車のメンテナンス全般の作業を受け付けています。

お気軽にご相談ください。

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