中古車の総額表示の義務化とは?総支払額と本体価格との違いも解説

2023.05.27

中古車を購入するときに、本体価格とは別に費用が掛かることで不安になった経験はありませんか?

最終的な購入費用が分かりにくい、という消費者の声に対して、2023年10月から中古車の販売に際して総額表示が義務化されることになりました。

そこで、今回は中古車の総額表示と総支払額、本体価格の違いについて解説したいと思います。

中古車の総額表示とは?

中古車の総額表示とは、車の本体価格に加えて、登録手続きに必要な諸費用や税金、保険などを含めた、購入時に必要な支払総額を表示したものです。

中古車の支払総額

中古車の支払総額は、購入する中古車の車種や年式、車検の残期間や登録する地域などによってそれぞれ異なります。

一般的に支払総額には、次のような費用が含まれます。

車両本体価格 中古車の販売価格
登録手数料 自動車の登録手続きに関連する費用や手数料
自動車税種別割 自動車の所有者に対して課せられる税金
自動車保険 自動車の事故に対する損害を補償する保険
リサイクル料 使用済自動車を適正に処理するための費用

このほかにも必要な費用が発生する場合がありますが、これらの費用をはじめから総額で表示することで、中古車を購入するために必要な費用が分かりやすくなります。

参考:中古車の諸費用とは?法定費用や代行費用の違いについても解説

中古車の総額表示が義務化になった背景

中古車の総額表示が義務化になったのは、中古車を購入する消費者の保護と取引の透明性を高める必要性が高まったことが背景にあります。

これまで中古車業界では、大手を含めた一部の中古車販売店で表示価格を安く見せかけて、実際には表示した価格では購入できない不当な価格表示が常態化していました。

また、保証や整備等の購入を強制する不適切な販売方法が横行していたことも総額表示が義務化された大きな理由になります。

中古車の総額表示の義務化はいつから?

中古車の総額表示の義務化は2023年10月から施行されることが決定しています。

2020年度より、販売価格の表示の見直しについて自動車公正取引協議会(日本の自動車取引業者で構成される一般社団法人)が中心となって検討が進められてきました。

その結果、中古車の販売価格(「支払総額」)の表示に関する自動車公正競争規約及び同施行規則の改正案が、2023年3月27日付で消費者庁及び公正取引委員会に承認され、同年10月1日から施行されることとなりました。

中古車の総支払額と本体価格の違いは?

中古車を購入する際に、わかりにくい原因の一つが総支払額と本体価格の2つの価格表示がされている点にあります。

中古車の本体価格とは?

中古車の本体価格とは、販売している中古車の本体の価格に消費税を含んだ金額のことを言います。

中古車の本体価格には登録手数料や自動車保険の費用、消費税以外に必要な税金などの費用が含まれていないため、公道以外で利用する、といった特殊なケースを除き別途費用が発生します。

中古車の総支払額と本体価格の違い

本体価格は購入する中古車本体と消費税のみの価格となっているため、特殊な場合を除き本体価格で中古車を購入することはできません。

一方で、総支払額とは、中古車の購入に最低限必要な諸費用や税金が含まれた金額となっているため、ユーザーは総支払額を払えば中古車を購入することができます。

もともと中古車の販売価格の表示は本体価格のみを提示することが一般的でした。

しかし、実際に購入するとなると、別途諸費用や税金などが発生するため、ユーザーからはわかりにくいとの声が多く上がっていました。

このようなことから、長年価格表示のルールに対して改正が議論され、今回正式に総額表示が義務化されることになりました。

中古車の総額表示に含まれる費用は?

中古車の総額表示には、次の費用が含まれています。

自賠責保険料

自賠責保険とは、交通事故による被害者への補償を目的に、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられている自動車保険です。

自賠責保険の保険料は、自動車の所有者が自動車を登録する際に納付するほか、車検のタイミングで更新を行う必要があります。

新規で車検を取得して中古車を購入する場合の自賠責保険は、一般的に乗用車や軽自動車(乗用・貨物)で25か月、貨物車などの商用車では13カ月で契約し、車検残のある中古車を購入する際は、月割で算出した保険料を支払います。

自賠責保険の金額は、自動車の種別や地域などによって異なります。

自賠責保険料の例

保険期間 自家用乗用自動車
(白の3・5・7ナンバー)
自家用小型貨物自動車
(白の4ナンバー)
軽自動車
(乗用/貨物)
13カ月 12,010 13,480 11,950
25カ月 18,160 20,950 18,040
37カ月 24,190 24,010

※令和5年(2023年)4月1日以降契約の保険料。離島や沖縄県の一部地域を除く

参考:損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率表」

ただし、自賠責保険には自動車の所有者や運転者自身の損害に対する補償は含まれていないため、自動車の損害や賠償などのリスクに備えるために、自賠責保険に加えて任意の自動車保険も加入することが一般的です。

任意の自動車保険は総額表示には含まれない費用となっています。

税金(税金に準じて扱うものを含む)

中古車を購入するときは、消費税以外の税金の支払いが必要になりますが、各種税金の費用に関しても総額表示の中に含まれることになります。

自動車重量税 自動車の重量、用途、経過年数に応じて支払う税金
自動車税種別割 自動車の車種、用途、排気量などに応じて支払う税金(未経過相当額を含む)
自動車税環境性能割
軽自動車税環境性能割
自動車の取得金額や燃費性能に応じて取得時に支払う税金
手数料(証紙代/ 印紙代) 車庫証明手数料、検査登録手数料(証紙/ 印紙代)
リサイクル預託金相当額 廃車時に必要な廃棄費用

登録に伴う費用(登録手続代行費用など)

中古車を購入する際に、本来購入者が行う登録手続きを、販売店が代行する場合に手続代行費用が必要になります。

そのなかで、次の項目に関しては総額表示に含まれる費用となっています。

検査登録手続代行費用 車検や名義変更の登録手続きの代行
車庫証明手続代行費用 車庫証明の申請や取得の手続きの代行

中古車の総額表示に含まれない費用は?

中古車を購入する際に、ユーザーの要望によって必要な場合と、不要な場合に分かれる費用に関しては、総額表示には含まれていません。

総額表示に含まれない費用には次のものがあります。

任意保険料

任意保険とは自賠責保険では保証されない運転者自身の損害に対する補償や車の修理費用に対する補償のための自動車保険です。

文字通り、強制ではなく任意で入る保険であることから、中古車の総額表示に任意保険は含まれていません。

任意保険に関しては、保険の契約内容や契約者の年齢などさまざまな条件や保険会社によっても料金が異なります。

参考:東京海上日動FAQ
【自動車事故】自動車保険(任意保険)とはどのような保険でしょうか?」

法定費用

総額表示に含まれている税金に関する費用以外に、次の費用はユーザーの要望や条件によって異なることから、総額表示には含まれない費用となっています。

希望ナンバー申請費用 希望ナンバーを申請する際に必要な証紙・印紙代
リサイクル料金 未預託又は追加が必要な装備がある場合(廃棄時に支払が必要)

登録に伴う費用

中古車の登録に伴う費用の中で、次の項目はユーザーの購入時の条件や要望によって必要な場合と不要な場合があるため、総額表示には含まれない費用となっています。

下取車諸手続代行費用 信販会社または他の販売店の所有権留保車両を下取る場合の解除費用
下取車査定料 下取車を査定する費用
管轄外登録(届出)費用 管轄外の運輸支局で登録(届出)する際の追加費用
納車費用 購入者の指定する場所まで配送する際の費用

中古車の総額表示で不適切な諸費用とは?

中古車の販売価格で不当な価格表示として問題となった内容の一つに、本来は車両価格に含まれるべき費用を諸費用として別途請求している事例がありました。

このことをふまえて、2023年10月の規約改正では次の3つは不適切な諸費用として区別されています。

諸費用として不適切な費用(本来は車両価格に含まれる内容)

販売店が中古車を販売するために当然行うべき作業費用 納車準備費用
通常仕上費用
車内清掃、洗車、クリーニング費用
ワックスがけ費用 など
納車前に最低限必要な点検や軽整備の費用 納車点検費用
納車整備費用
納車前の点検費用
オイル、バッテリー交換等の軽整備費用など
本来販売する中古車の「車両価格」に含まれるべき費用 土日祝納車費用
利益、販売手数料
オークション陸送費
広告掲載料 など

中古車の総支払額を安くする方法は?

中古車は1台1台コンディションや条件が異なることから、本体価格について高い、安いと比較することは難しい商品です。

それでも、できるだけ安くしたい、支払う金額を少しでも安くしたいと考えている方は多いと思いますので、中古車の支払総額を抑えるポイントを紹介したいと思います。

自分で出来る手続きは自分で

中古車を購入する手続きは、所有者となる購入者が自分で行うことができるものがあります。

代行費用として挙げられている項目は、基本的に自分で行うことが可能です。

例えば。車庫証明の申請や取得の手続きは、書類を作成して管轄所の警察に申請するだけですので、比較的自分でも簡単に手続きすることはできます。

それでも、平日の昼間に直接警察署へ出向く必要があるため、時間がとりにくい人にとっては難しいかもしれません。

どの代行費用が自分で手続きできるかどうかについては、購入する販売店によっても対応が異なりますので、購入前に、お店の方と相談しながら確認することをおすすめします。

車検残の期間や環境性能割の有無を確認する

中古車の総支払額を抑える方法として、車検残のある中古車を選択する方法もあります。

条件の近い中古車の場合、車検残がある中古車の方が、車検整備費用や重量税などの登録に伴う費用がかからない分、負担が少ない、というケースもあります。

また、中古車であっても年式の新しいものは環境性能割がかかることがあるので、環境性能割の有無を確認することで、登録に伴う費用の負担を少なくできるケースもあります。

ただ、中古車は1台1台コンディションや条件が異なるため比較しにくい商品ですので、諸費用の金額以上に、中古車の状態や装備など、総合的な判断で商品を選ぶことをおすすめします。

中古車選びのポイント

2023年10月から中古車の総額表示が義務化されることで、ユーザーにとっては購入価格が明確になり、比較検討がしやすくなります。

一方で、価格だけで中古車を選んでしまい失敗してしまった、というお話を耳にすることも少なくありません。

そこで、価格以外で重要になる中古車選びのポイントについて紹介したいと思います。

外観や装備、内装のコンディションを確認する

中古車は新車と違って1台1台コンディションや条件が異なります。

ですので、本体価格や総支払額も重要ですが、まずは外観や装備、内装のコンディションを確認することが重要です。

特に、年式が古い中古車や、走行距離が多い中古車は、消耗や劣化が進んでいる可能性があるため、状態をよく確認してから購入するようにしましょう。

諸費用の内容や購入の条件を確認する

中古車の総額表示の義務化は2023年10月となっていますが、現時点でも不当な価格表示はルール違反です。

諸費用として不適切な費用が見積りに計上されていたり、本体価格を安く表示しながら実際には有償保証やオプションの購入を条件にすることは正当な販売店の行為とは言えません。

中古車を選ぶときは、見積もりの内容や購入の条件に付いてもしっかり確認した方が良いでしょう。

信頼できるお店を選ぶ

中古車選びで最も重要なポイントは信頼できるお店を選ぶことです。

いくら条件が良い中古車があったとしても、そのお店が不適切な費用を請求するようならば、購入はおすすめできません。

また、購入後のアフターサービスがしっかりしているという点や気軽に相談できるお店であることも、中古車選びでは重要なポイントになります。

探している中古車が見つかったら、その販売店が信頼できるかどうか、口コミやスタッフの印象なども考慮しながら、総合的に判断することをおすすめします。

まとめ

中古車の総額表示は、車の本体価格に加えて、それに関連する諸費用や税金などを含めた、総合的な費用を示すものです。

2023年10月から中古車の販売に際して総額表示が義務化されることになりました。

総額表示の義務化で、中古車購入時の総合的な費用を理解しやすくなるので、今後はより中古車の比較検討がしやすくなると思います。

一方で、中古車は購入後のアフターサービスの対応も考えると、商品以上に信頼できるお店で選ぶことが重要になってきます。

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